この記事では2022年よりザスパクサツ群馬に在籍する櫛引政敏について、プレーの特徴、過去の経歴、注目ポイントなどについて紹介します。
この記事を読むことで、試合中に櫛引政敏のどういうプレーに注目すると、より観戦を楽しむことができるかを理解できます。また、櫛引政敏が過去にどこのチームで、どんな選手たちと共にプレーをして、どんな活躍をしてきたかを理解することで、より選手に感情移入しながら応援を楽しめるようになります。
櫛引政敏はどんな選手か?
櫛引政敏は2022年からザスパクサツ群馬に加入したGKの選手です。瞬発力、反応速度、シュートストップ能力、長距離まで届くロングキックに強みを持つGKです。2022年は38試合出場0得点の実績を残しており、不動の守護神として今後も活躍が期待される選手です。
櫛引政敏の経歴
櫛引政敏は、青森県青森市出身です。小学1年の時に地元の千刈FCでサッカーを始めました。小学5年時にフットサルでGKを経験したことがきっかけとなり、翌年からGKとしてプレーするようになります。中学時代は青森山田中学校に進学します。同期のチームメートには柴崎岳が在籍していました。2年時には全国中学校大会にて3位、3年時には準優勝の成績を収めています。
高校時代は地元の名門、青森山田高校に柴崎岳らと共に進学します。1年時から身長は低くとも身体の動きのシャープさと反応の鋭さを武器にAチームの控えGKの位置につけていました。秋頃には身長が170cmから183cmまで急激に伸びたこともあり、黒田剛監督は櫛引のポテンシャルに目を付け正GKに抜擢するようになります。そして1年時からスタメンで臨んだ全国高校サッカー選手権でしたが、初戦の鹿児島城西高校に3-4で敗退してしまいます。櫛引政敏は、大迫勇也の2ゴールを含む大量4失点の悔しい結果を「完全にやられた。大迫選手は本当に凄かった。コースを徹底して狙われて、何もさせてもらえなかった」とコメントしていました。
高校2年時には「櫛引をプロにするために、ウチで指導して育ててほしい」という黒田剛監督の要請で新たにGKコーチに就任した湯田哲生コーチの指導のもとで、櫛引政敏はGKとしての技術に磨きをかけていきます。自身2度目の全国高校サッカー選手権でもスタメンでゴールマウスを守り、青森山田高校の準優勝に貢献します。特にPK戦までもつれ込んだ関西大学第一との準決勝では、PKを3本ストップしたことと、その後の前方宙返りパフォーマンスが話題を集め、大会優秀選手にも選出されました。
高校3年時も青森山田高校の守護神として活躍しますが、全国高校サッカー選手権では3回戦で滝川第二高校に敗退してしまいます。まさかの早期敗退を喫してしまいますが、櫛引政敏自身はこの大会でも大会優秀選手に選出されています。
高校卒業後、2011年にJ1の清水エスパルスへ加入します。この当時の清水には、小野伸二、高原直泰、大前元紀、リュングベリなどが在籍していました。GKには山本海人、林彰洋などのライバル選手がひしめいており、櫛引政敏は当初なかなか試合出場機会を得ることができず、2011年、2012年と2年連続でリーグ戦出場0試合となってしまいます。
2013年は2ndゴールキーパーの序列まで昇格してベンチ入りの機会を増やすとシーズン後半には、林彰洋から正GKのポジションを奪取しリーグ戦出場20試合の実績を残します。さらに2014年には正GKとしてリーグ戦出場29試合の実績を残し活躍します。2015年は杉山力裕にスタメンの座を譲り、リーグ戦出場10試合の実績で終わります。
2016年はJ1の鹿島アントラーズへ期限付き移籍で加入します。ここで青森山田高校同級生の柴崎岳と再びチームメートとなります。しかし鹿島の守護神、曽ケ端準からポジションを奪うことはできず、リーグ戦出場0試合でシーズンを終えます。
2017年はJ2のファジアーノ岡山へ期限付き移籍で加入しますが、ここでも一森純とのスタメン争いに敗れ、リーグ戦主将6試合の実績で終わります。
2018年にはJ2モンテディオ山形へ完全移籍で加入します。初年度途中からスタメンに定着し、2018年はリーグ戦出場24試合、2019年はリーグ戦出場42試合と守護神としてチームを支えます。この時代にモンテディオ山形に在籍していた北川柊斗とは後にザスパクサツ群馬でもチームメートとなります。2020年には前十字靭帯断裂で全治6ヶ月の怪我を負うとその後は、なかなか試合に絡むことができず、2020年は出場19試合、2021年は出場0試合の実績に終わります。
そして2022年にザスパクサツ群馬へ完全移籍で加入を果たします。
櫛引政敏のプレースタイルと強み
櫛引政敏の強みは、高い反応スピードによるシュートストップ能力です。中学時代から鋭い反射神経とスピードには定評があり、派手なダイビングなどビックセーブの多いキーパーとしても有名でした。さらに高校2年時から指導を受けた湯田コーチの元で、細かいステップ、ポジショニング、駆け引き、重心の置き方、飛び出しのタイミング、そして弱点だった判断力を徹底的に底上げし、プロのGKになるためのベースを築いてきました。プロ入り後も持ち前の反応スピードを生かしたビックセーブは健在で、U23日本代表として臨んだAFC U23選手権では守護神として神がかり的なビックセーブを連発し、リオデジャネイロ五輪出場権獲得に大きく貢献しています。
また、185cm85kgの体格から繰り出される強力な超ロングキックも櫛引政敏の持ち味です。1本のパントキックで、相手陣内のペナルティエリアまでFWを走らせるようなロングパスを放り込むことが可能です。櫛引政敏自身も、ザスパクサツ群馬加入会見にて「今までにないような長いロングキックをお見せできると思います」という趣旨のコメントを残しており、自身のストロングポイントとしてアピールしていました。高校サッカー選手権でも話題となった、185cmの長身で前方宙返りできてしまうほどの身体能力の高さには、注目したいところです。
櫛引政敏の注目ポイント
GKは、「1人しか出場できない」「途中交代起用もない」「選手寿命の長いポジション」などの理由から若手選手がベテラン選手たちからスタメンを勝ち取ることは特に難しいポジションと言われています。しかし櫛引政敏は、プロ3年目の20歳の頃からJ1チームでスタメン出場していた経歴を誇ります。まだ若手と言える23歳で清水エスパルスを退団する2015年までに、J1出場59試合の実績を誇り同世代GKでは一段上の経験値を誇っていました。
さらにリオデジャネイロ五輪出場を目指すU23日本代表でもチーム発足当初から正GKとして試合出場を重ね、アジア最終予選となるAFC U23選手権では全6試合中5試合に先発し、好セーブで日本の守備陣を支えました。リオデジャネイロ五輪本大会でも守護神としての活躍に注目が集まりましたが、グループリーグ初戦のナイジェリア戦で大量5失点(4-5)で敗北を喫すると、2戦目以降は中村航輔に先発の座を譲り、チームはグループリーグ敗退に終わります。この悔しい経験も含む国際舞台での経験値の蓄積は、ベテランと呼ばれる年齢に差し掛かってきた櫛引政敏の現在を語る上でも、見逃せない要素でしょう。
トップレベルでの豊富な経験値に加え、周囲から「あっけらかんとした」などと言われる独特の性格やメンタルの強さも相まって、ピンチに動じない芯の強さと頼もしさが、ゴールマウスを守る櫛引政敏から感じ取ることができると思います。今後もザスパクサツ群馬の守護神としての活躍を応援していきましょう!