MF 岩上 祐三とは?【ザスパクサツ群馬 選手紹介】

選手紹介

【移籍決定】岩上祐三は2024年1月7日にSC相模原への完全移籍が発表されました。岩上祐三の新天地での活躍を引き続き応援しましょう!

この記事では2020年よりザスパクサツ群馬に在籍する岩上祐三について、プレーの特徴、過去の経歴、注目ポイントなどについて紹介します。

この記事を読むことで、試合中に岩上祐三のどういうプレーに注目すると、より観戦を楽しむことができるかを理解できます。また、岩上祐三が過去にどこのチームで、どんな選手たちと共にプレーをして、どんな活躍をしてきたかを理解することで、より選手に感情移入しながら応援を楽しめるようになります。

岩上祐三はどんな選手か?

岩上祐三は2020年からザスパクサツ群馬に加入したMFの選手です。精度の高いキックと、90分間攻守に貢献できる豊富な運動量が持ち味で、ロングスローも得意としています。主にCMFやボランチでプレーしますが、トップ下や右SMF、右SBでのプレーも可能です。2020年は40試合出場1得点、2021年は37試合出場2得点、2022年は36試合出場3得点の実績を残しており、中盤の中心選手として活躍し続けています。

岩上祐三の経歴

岩上祐三は茨城県古河市出身です。小学校2年時から地元の下大野小SSSにて本格的にサッカーを始めます。7歳上と6歳上の2人の兄を追いかけながらボールを蹴る日々が多かったといいます。小学校時代から茨城県選抜のメンバーに選出されており、この時には大津祐樹と選抜チームで共にプレーしていました。

中学時代はKⅡサッカークラブでプレーします。茨城県内ではベスト4近辺まて勝ち進む強豪チームに所属していました。

高校時代は、地元茨城県内の高校ではなく、群馬の前橋商業高校へ進学します。当時の前橋商業高校は、前橋育英高校と並ぶ群馬県の強豪校で、岩上祐三が中学3年時の2004年には群馬県代表として全国高校サッカー選手権に出場しベスト8まで勝ち進んでいたチームでした。当時の前橋商業高校には寮がなく、アパートを借りて一人暮らしをしながらの高校生活が始まります。岩上祐三は1年時から試合出場の機会を得て活躍をします。また当時3年生の先輩には高橋秀人が在籍していました。上下関係の厳しい環境のため、チームメートであってもピッチ外で話す機会はほとんど無かったようですが、後に高橋秀人は当時の岩上祐三のことを「祐三は一言で言えば中田英寿」とその実力とプレーの特徴を評していたそうです。2年時にはインターハイで全国大会出場を果たしますが、全国高校サッカー選手権では3年間とも群馬県予選で敗退してしまいます。特に2年時、3年時はともに群馬県予選決勝で前橋育英高校との試合に敗北する悔しい結果に終わりました。当時を振り返り、「本当に悔しかった」「あの敷島のグランドの雰囲気がよかった」などと本人も語っています。

高校卒業後は東海大学へと進学します。当時のチームメートには佐藤晃大、川島大地などが在籍していました。岩上祐三は1年時からスタメンで試合出場を重ね、関東大学リーグ2部の新人賞に選出される活躍をみせ、チームの1部昇格に貢献します。2年時からは全日本大学選抜にも招集されるようになります。またこの頃は山口素弘が東海大学コーチとして在籍しており、直接指導を受ける機会もあったそうです。4年時には副主将を務めます。また、東海大学史上初の特別指定選手としてJ2湘南ベルマーレに登録され、2011年シーズンに1試合だけではありますが大学在学中にJリーグデビューを飾ります。この時、湘南ベルマーレで監督を務めていた反町康治はその後も岩上祐三のキャリアに大きな影響を与えることになります。

そして大学卒業後の2012年、J2の湘南ベルマーレへ加入します。当時の湘南ベルマーレには、遠藤航、永木亮太、菊池大介、高山薫などが在籍し、曹貴裁監督が指揮を取っていました。初年度は21試合出場5得点の実績を残し、チームのJ1昇格に貢献します。

2年目となる2013年も岩上祐三はJ1で一定の出場機会を得てはいましたが、スタメン出場は少ない状態が続いていました。そんな折、2013年8月に湘南の強化部長に呼び出され、松本山雅FCから期限付き移籍のオファーがきているのでどうするかすぐに返事をするようにと告げられます。J1チームからJ2チームへの移籍とはなりましたが、岩上祐三は「行きます」と即答で移籍を決断します。スタメンで試合に出たいという思いと、松本山雅FCを率いていた反町康治監督の存在が移籍決断の決め手だったそうです。大学4年時に特別指定選手として湘南ベルマーレで指導を受け、プロ入りへのきっかけを作ってくれた反町監督の元でプレーしたい、助けになりたいという気持ちが強かったと言います。

2013年途中加入となった松本山雅では13試合出場2得点7アシストの実績を残します。この時の松本山雅FCでは船山貴之、飯田真輝などと共にプレーしました。2014年には完全移籍で松本山雅FCへ移籍します。この年は田中隼磨も松本山雅に移籍加入し共にJ2を戦います。岩上祐三は41試合出場8得点10アシストの実績を残し、中心選手として松本山雅史上初となるJ1昇格を果たします。J1でのシーズンとなった2015年は3-4-2-1のトップ下のポジションで前田直輝とコンビを組んでプレーします。33試合出場4得点と気を吐きますが、残念ながらチームはJ2へ降格してしまいます。

2016年、岩上祐三はJ1へ昇格した大宮アルディージャへ移籍します。松本山雅への愛着や反町監督への恩返しの思いとの狭間で揺れるも、J1でプレーすることへのこだわりをみせます。大宮アルディージャでは背番号10を付けることが発表されました。この年の大宮では、家長昭博、江坂任、ドラガンムルジャ、マテウス、泉澤仁などと共にプレーしました。岩上祐三自身はボランチのポジションでプレーをし、最終的に20試合出場1得点の実績を残します。続く2017年は大前元紀が移籍加入し、チームメートとしてプレーしました。岩上祐三は26試合出場0得点の実績を残しますが、チームはJ2に降格してしまいます。

2018年、3年振りにJ2松本山雅FCへの移籍加入が発表され、再び反町康治監督の元でプレーすることになります。この年は主に右ウイングバックでプレーすることとなり、以前の松本山雅FC在籍時から尊敬していたレジェンドの田中隼磨とポジションを争うライバルとなります。そんな中、38試合出場5得点の活躍でチームをJ1昇格へと導きます。チームメートには田中隼磨や飯田真輝のほか、前田大然やセルジーニョが在籍していました。J1でのプレーとなる2019年は19試合出場1得点の実績となり、チームは残念ながらJ2へ降格してしまいます。

そして2020年に、ザスパクサツ群馬への加入を果たすこととなります。

岩上祐三のプレースタイルと強み

岩上祐三の強みとしては、磨き上げられたキック力とその精度の高さが上げられます。精度の高いロングキックは、1本で味方のシュートシーンを演出したり、局面を大きく変えるようなサイドチェンジでチャンスを演出することが可能です。大学1年時からキック精度を評価されセットプレーのキッカーも任されていました。プロ入り後もキック精度を活かしたチャンスメークは岩上祐三の武器となっており、最も攻撃的なポジションで起用されていた2014年シーズンの松本山雅FC時代は8得点10アシストをマークしています。

さらにセットプレーではキッカーとしてだけでなく、ロングスローを投げられる点も岩上祐三の大きな特徴になります。大学2年頃から本格的に練習してきたというその飛距離は40mに達すると言われており、Jリーグでも指折りのロングスローの使い手としてならしています。松本山雅FC時代は岩上祐三のロングスローが戦術の1つとして定着していましたし、ザスパクサツ群馬でも相手陣内でのスローイン時には岩上祐三のロングスローを選択することが多く、貴重な攻撃のオプションとして機能しています。

また、圧倒的な運動量を支えるスタミナも岩上祐三の持ち味となっています。それを裏付けるデータとして2015年のJ1総走行距離ランキングでリーグ3位の386.41kmをマークしたという実績があります。これには松本山雅FCで合計5シーズン師事した反町康治監督の指導が大きく影響しています。とにかく走ることを徹底するチームスタイルで開幕前のキャンプではボールを一切使わずに走り込みをする日もあったと言います。その反町康治監督も岩上祐三の実力は高く評価しており、2015年当時の松本山雅FCで日本代表に選ばれる可能性がある選手として、岩上祐三と前田直輝の名を上げていたそうです。ザスパクサツ群馬でも豊富な運動量を活かしたプレーは健在で、攻撃面は勿論、苦しい後半の時間帯でも最後まで体を張った泥臭い守備で中盤を引き締めてくれる姿はとても頼もしく、幾度となくチームの危機を救ってきました。

岩上祐三の注目ポイント

岩上祐三が中盤の大黒柱として攻守でチームを支えることがてきるのは、運動量やキック精度の強みに加え、厳しいプロの闘いをくぐり抜けてきたその経験値が効いていると言えます。これまでのキャリアで通算4年半をJ1で、6年半をJ2で過ごし、ほぼ全てのシーズンでチームの主力選手として活躍してきたそのキャリアは、現在のザスパクサツ群馬の選手陣では抜きん出た経験値を有しています。加えて、J1昇格争いやJ2降格争いを演じることが多いチームに所属してきたこともあり、幾度となく熾烈な昇格・降格争いを戦ってきた経験値はチームにとっても大変貴重なものです。

さらに、そういったタフなシーズンを毎年過ごしながらも様々なポジションでの起用に応えるユーティリティ性も持ち合わせています。トップ下、CMF、ボランチ、右SMH、右SBなど、数多くのポジションをこなすことが可能で、ポジションに固執せずチーム戦術に適応できるサッカーIQの高さも、岩上祐三の隠れた才能かもしれません。

そして最後に忘れてはいけないのが、熱いハートの持ち主である点です。もともと公の場で多くを語るタイプの選手ではなく、プレーで表現して背中でチームを引っ張るタイプのプレーヤーですが、試合後のインタビューでは「たくさんの方が見に来てくださるホームの試合で勝ち点3を取れなかったことは有り得ない」など、責任感とサポーターへの思いを強く感じさせるコメントが目立ちます。また2022年シーズン第21節の東京ヴェルディ戦では、主将の細貝萌がPKを外してドローに終わった試合の責任を重く受け止め、試合後のサポーターへの挨拶時に深く頭を下げたまま動くことがてきなくなってしまった一幕がありましたが、この瞬間、真っ先に細貝の元に駆け寄って声を掛けにいったのが岩上祐三でした。降格争いを戦うチームの主将が背負うプレッシャーと責任の重さを本質的に理解し、絶対に独りにさせない優しさとチームスピリットを持ち合わせた選手の振る舞いだったと思われます。

キック力、ロングスロー、運動量、経験値、ユーティリティ、熱いメンタリティと、多くの魅力を兼ね備えた岩上祐三のさらなる活躍を期待して、応援していきましょう!

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